2019年度

沖縄やんばる大宜味村田嘉里(たかざと)集落における地域展示会+双方向型ワークショップ(11月)を実施し、展示動画の作成と事後評価調査、これらの実践を元にした理論形成に取り組んだ。

展示の過程は、動画により記録した。また、終了後、地域においてインタビュー調査を行い、未来の兆候としての食の意義、未来志向の行動の変容を促す可視化による地域への介入の様態に関して地域参加主体による評価を受けた。

実施したこと

1.上映会の実施

「深福さんの100才ごはん:やんばる田嘉里 伝統の味とあなたの未来レシピ 」。ここでは、前年度に作成した「深福さんの100才ごはん」「深福さんの100才農園」を上映した。田嘉里住民センター、11月28日。

第1部 “ゆんたく(沖縄語で「おしゃべり」)”

デイケア利用の約40人の古老参加、記憶に残る味をゆんたくしてもらった。

2.1の動画を用いたレシピ聞き取りと絵画の双方向ワークショップの実施。

上映会第2部 ワークショップ 地域住民(子どもを含む)に記憶に残る味の絵を描いてもらった。

3.展示の開始から終了まで動画により記録

なお、当該動画は、地元団体の「山筆者会(やまびしゃかい)」にDVDを寄贈。

4.事後評価

地元団体「山筆者会」のメンバーによる事後評価を受けた。地域における伝統の保存と再活性化における苦悩、工夫、展望と本事業とのかかわりについての視点から評価を受けた。

マスコミ紹介
琉球新報(2019年12月17日100歳の食事 玉城さんに学ぶ 大宜味、「伝統と食」考察、 25面)

理論形成

チャンプルー食文化の水脈として、18世紀の琉球王朝以来の豚肉食文化とアメリカ占領下の洋食化の融合形態としての「マーガリンごはん」([油脂×塩]という型が品を変えて継承されていくこと)や、災害時の食としてのそうめん食の特異な位置を知ることができた。また、民泊需要と文化資源をどう結び付けるかなど、地域資源の有効活用と地域内コミュニケーションの活性化の課題が浮かび上がった。

2020年度

「ウェブ・ミュージアム」と「ミニ・モバイル・ミュージアム」を制作し、未来資源としてのアーカイブ資料の可能性を顕在化する仕組みを開発し理論化を導く。第一に、昨年度蓄積した、食と方言に関する知識や経験を可視化する。

古老や現地住民とのワークショップで語られたソーメンチャンプルーやカニ汁、マーガリンごはんをはじめとする過去の食とそれへの思いをプロによりイラスト化してもらい、語りの音声起稿と組み合わせ電子絵巻物を作成する。

実施すること

沖縄県大宜味村田嘉里集落での取り組みは,人間文化研究機構「博物館・展示を活用した最先端研究の可視化・高度化事業」のうち,総合地球環境学研究所「双方向コミュニケーションを基盤とした社会と科学の協働研究(超学際研究)の可視化・高度化の推進」(2018年度,2019年度,2020年度)の支援を受けて実施しました。